補聴器を紛失してしまったら ~保証や対策について

自分の耳として毎日使う補聴器。技術の進歩によってサイズが小さくなり、より快適に装用できるようになったため、「つけていることを忘れる」とおっしゃるお客様も大勢いらっしゃいます。
しかし、うっかり紛失してしまった、という話は少なくありません。特に、コロナ禍以降、「眼鏡・マスク・補聴器」の3つを同時に装用する方も多く、補聴器紛失のリスクも高まっています。
紛失した、といって新しいものをすぐ買いなおす、ということもなかなか現実的ではないため、できるだけ紛失しないよう大切に長く使いたいものです。

そこで、補聴器を紛失したらどうすればよいのか、紛失しないためにどうすればよいのかについてご説明していきます。

補聴器を紛失したら

もし補聴器を紛失した場合、まずは警察へ遺失物届を提出します。紛失保証のある補聴器の場合、保証を受けるために遺失物届のコピーが必要になります(紛失保証については後述します)

「製造番号」から落とし主を検索できる

補聴器が警察に届けられた場合、補聴器の「シリアル番号」をたどって持ち主のもとに連絡が入る可能性があります。

2022年2月上旬より始まった警察庁の遺失物係と日本補聴器販売協会の連携により、警察に届けられた補聴器の情報が製造元のメーカーへ共有されるようになりました。日本補聴器工業会に加盟しているメーカーの補聴器には、製品一つひとつに固有の「シリアル番号」が記されています。補聴器は管理医療機器であるため、リコール時などに補聴器を確実に回収する管理義務があり、シリアル番号に基づいて、メーカーは卸先を、販売店は購入者の情報を記録しています。よって、補聴器のシリアル番号は持ち主の重要な手がかりとなります。
シリアル番号は保証書にも記載されていますので、ご自宅でもなくされないよう保管しておくことをお勧めします。

また、もし補聴器の落とし物を見つけた場合には、同様に最寄りの交番や警察署に届け出てください。

スマートフォンのアプリで補聴器を探す

スマートフォンと連携可能な補聴器であれば、補聴器とスマートフォンの通信が途絶えた場所をアプリのGPS機能を用いて確認できます。例えば、「近所のショッピングセンターあたり」「自宅の周辺」など、補聴器を探すエリアが狭められるので、見つかる可能性が高まります。
ただし補聴器自体にGPSが搭載されているわけではないので、補聴器のスイッチが切れた時点でスマートフォンとの通信は途切れます。よって、紛失した場所から補聴器が移動するとその先は追跡できないため、補聴器が拾われて警察に届けられた場合、補聴器の位置は追えなくなります。

補聴器の紛失リスクを減らすために

既述のような連携や仕組みのおかげで、紛失した補聴器が手元に戻ることも増えた一方、そもそも補聴器を紛失しにくく工夫しておくことが一番の対策となります。

落下防止ストラップを使う

手軽に取り入れられるのは、補聴器と洋服をつなぐ「落下防止ストラップ」を使うことです。うっかり耳から外れても地面まで落としてしまう危険を減らすことができます。


   落下防止ストラップ 片耳用/両耳用 ¥550(税込)

イヤモールドを使う

耳かけ型の補聴器には、通常はシリコン製の既製耳せんが付きます。適度に音やこもり感が抜け、フィット感が柔らかい反面、時間が経つと耳せんが浮いてきたり、ゆるんでくる、という場合もあります。
その耳せんをオーダーメイドで作成したものが「イヤモールド」です。
補聴器ユーザーの耳型を取って作成するため、自身の耳にぴったりとフィットし、脱落しにくくなります。
また、音質を安定させ、ハウリング(ピーピー音)を防ぐという特徴もあります。

補聴器の紛失保証を利用する

当店で販売している補聴器では、オプションで「紛失保証」をつけることが可能なメーカー(ワイデックス製)があります。
修理保証期間が1年延長され、その保証期間内に紛失された場合、1回に限り同一の製品を補償する、というもの。
オプション価格は片耳2万円(非課税)となります。
補聴器の種類により、もとより紛失保証が1回ついているものもあるため、オプションを付けることにより、最大2回の紛失保証を受けられることになります。

当店でもこのオプションを付けられる方が増えています。詳しくはお気軽にご相談ください。

メガネやマスクとの併用の仕方を工夫する

「補聴器とメガネとマスクの3つも着けるのは大変」というお言葉。実際、耳の上に3つも乗せるとなると、やはり不便は出てきてしまいます。着け外しの際に引っ掛けて紛失したり、気づかない間に紛失したりしたらどうしよう、という不安のお声もあります。

そこで、マスクやメガネと補聴器とをうまく併用するコツをご紹介いたします。

◎着け方の順番は「メガネ」→「補聴器」→「マスク」

☑マスクのゴム紐は補聴器の外側
☑メガネのツルは補聴器の内側

メガネを外す時は、ツルを少し持ち上げて、補聴器と離してから外すと補聴器のワイヤーが絡まりにくくなります。
順番さえ覚えてしまうと簡単にできるようになります。

補聴器を紛失してしまったら◆まとめ

補聴器を紛失しないようにするための対策、万が一紛失してしまったときの対応についてご説明してきました。
もう一つの耳となる大切な補聴器。
少しの工夫で安心、快適な補聴器生活をお過ごしください。

投稿者プロフィール

髙橋 義和
髙橋 義和
認定補聴器技能者。30年に渡る補聴器メーカー勤務の経験をもとに、『距離も気持ちも近くて安心、信頼できる補聴器専門店』
として、住吉大社のほど近く、粉浜商店街にある補聴器専門店として日々精進しております。趣味はクラシックギター、特技は書道。